少額訴訟制度について

 少額訴訟制度とは、紛争の原因となっている金銭トラブルの額が低額(30万以下)であり、弁護士を雇った本格的な訴訟手続を踏むと費用倒れとなってしまうような場合に、簡単な手続きで利用できる簡易裁判所の訴訟制度です。

少額訴訟・手続きの流れ


1.少額訴訟の利点

@    1日の審理で終わります。

(審理は平均1〜2時間程度)

A    判決は原則、審理終了後すぐに言い渡されます。

B    基本的に訴訟費用が多くかかることはありません。

(弁護士や司法書士のアドバイスを受けることは有効ですが、弁護士に委任しなくても
利用可能な制度です。)

C    支払請求は分割することも可能です(一部請求)。

(請求総額が90万でも、30万の請求を3回することが可能です。

ただし、一部請求の場合はその旨明示することが必要です。)

  ※なお、利用回数に制限がありますので、その点も注意の必要があります。

   (下記、2.Dの利用回数の制限の説明をあわせて参照してください。)

D    支払の判決が行われたとしても、支払義務者には支払猶予、分割払、遅延損害金
 免除など柔軟な仕組があります。

E    話し合いによる解決(和解)も可能です。

F    証人が期日に出頭できない場合に電話会議システムを利用して行うことが可能です。
  (特段の理由なく被告が欠席した場合は原告の請求が通ることになります。)


2.少額訴訟利用の条件

@    30万円以下の金銭」の支払を求めるものでなければなりません。

(「金銭」以外の要素がある場合は、通常の訴訟手続となります。)

A    相手の住所が分かっていなければなりません。

B    審理を1日で終わらせるような比較的単純な事件である必要があります。

(事案が複雑であれば裁判官の職権によって通常の訴訟へと移行することもありえます。)

C    相手方(被告)が少額訴訟に同意することが必要です。

D    控訴はできません。

(少額訴訟をした簡易裁判所に対して異議の申立をすることは可能※)

E    利用回数の制限があります。1人につき同一の簡易裁判所において年間10回を超えて少額訴訟を提起することはできません。

※異議申立について

 原告・被告はともに少額訴訟判決に不服な場合は、少額訴訟が行われた簡易裁判所に異議の申立を行うことができます。ただし、判決の中でも支払猶予、分割払い、期限の利益の喪失、
訴え提起後の遅延損害金の支払義務の免除については異議申立ができません。異議申立が行われると、少額訴訟が行われた簡易裁判所で通常の手続に基づいた審理・裁判が行われることになります。ただし、この異義申立後の訴訟では、反訴や控訴は認められていません。なお、異議申立後の訴訟においても、和解による解決が可能です。


3.訴訟の場所


次のいずれかの簡易裁判所が訴訟の場所となります。

@    被告の住所地を管轄する簡易裁判所

A    債権の義務履行地の簡易裁判所

B    不法行為の行われた場所の簡易裁判所


4.訴訟にかかる費用

訴額      手数料

5万円

500円

10万円

1000円

15万円

1500円

20万円

2000円

25万円

2500円

30万円

3000円



郵券額(裁判所が送付する際に使う切手代です。)

    訴える相手が1人の場合   =3910円

    訴える相手が2人以上の場合 =1人増えるごとにプラス2100円

※金額は裁判所によって若干異なります。





少額訴訟