◆個人
個人自己破産の手続とその費用
個人少額管財手続
※個人少額管財手続の進行要領(東京地方裁判所民事第20部)
◆法人
法人自己破産の手続
法人少額管財手続
※法人少額管財手続の進行要領(東京地方裁判所民事第20部)
◆同時廃止と破産管財人選任
同時廃止型と破産管財人選任型の相違
個人が多重の債務をかかえた場合、早期に発見し、新たな借金を作り債務を膨らませないためにも早期に債務整理を図っていく必要があります。
債務整理には、任意の債務整理と自己破産手続をとる方法があります。破産とは、債務者が経済的に破綻をきたし、その資力をもっては全ての債権者に対する債務を完全に弁済することができなくなった場合に、各債権者に対して債権額に応じて公平に弁済することを目的とする裁判上の手続です。
法人は破産によってその有する財産を破産手続により清算することで解散しますが、個人は、破産宣告決定後、さらに免責決定を得ることで、破産手続による配当を除いて、破産債権者に対する全債務についてその責任を免除され、経済的に再起更生の途につき、新たなスタートができることになります。
尚、以下の非免責債権は、破産債権のなかで免責を与えることが一定の理由から適当でないものとして、免責は得ることが出来ません。
<非免責債権> 1. 破産者が悪意でなした不法行為による損害賠償請求権 2. 雇人の給料のうち一般の先取特権が認められる部分 3. 雇人からの預り金および身元保証金 4. 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった債権 5. 罰金・科料・刑事訴訟費用等 |
一.手続の流れ
まず、住所地の地方裁判所に必要書類と予納金を添えて、「破産宣告申立書」を提出します。申立書は裁判所や弁護士会で入手出来ます。
予納金は裁判所によって異なりますが、同時廃止型の破産で大体金50,000円以内です。おおむねの手続と費用は下記のようになります。(裁判所により異なります。下欄の全国地方裁判所一覧表を参照して下さい。)
1.破産申立(同時廃止の申立)
破産原因はあるが、債務者の財産が少なくて破産手続の費用すら出ない場合があります。このような場合、裁判所は一応、破産宣告を行ったうえで、以後の破産手続をすすめない取扱いとして破産手続を廃止する決定を行います。これは破産宣告と同時に行われるので、同時(破産)廃止と呼ばれます。
通常、早くて1か月程度(同時廃止のときは、約2か月)で裁判所から審尋のための期日の呼出があり、審理されます。その後、破産宣告決定が出されます。
尚、東京地方裁判所破産部では即日面接係として、破産宣告決定が早期に下りる制度が設置されています。詳しくは、下段の「東京地方裁判所即日面接係について」をご覧下さい。
<申立時に必要な書類> @ 破産申立書 A 陳述書 B 債権者一覧表 C 財産目録 D 家計全体の状況(2か月分) E 戸籍謄本・住民票 F 同時廃止の上申書 他 場合によっては、裁判所の指示により、下記の書類等が必要になります。 G 陳述書の中で指示された書類のコピー H 資産目録の中で指示された書類のコピー I 家計全体の中で指示された書類のコピー J 居住証明・・実際に住んでいる「現住所」と、住民票の住所が異なる場合のみ K 残高の分かる債権者からの請求書 L 給与明細書(所得証明書・課税証明書) M 保険の契約書、証券の写しなど |
2.破産宣告決定
3.免責の申立
破産手続上の配当によって弁済されなかった破産者の債務につき、裁判によってその責任を免除することを免責といいます。
免責は、破産決定を受けたら直ちに申立が出来ます。同時廃止型の場合には、同時廃止決定確定後1か月以内(裁判所によって異なります。)に手続して下さい。その後、申立から5〜6か月後に裁判所から呼出があり、免責申立の内容について裁判官から審尋のための期日の呼出があり、審理されます。
<申立時に必要な書類> @ 免責申立書 A 陳述書 他 |
4.免責決定
同時廃止の場合、早くて破産申立から約6〜7か月程で、決定が出されます。
二、手続にかかる費用(同時廃止の場合)
1.破産申立にかかる費用
@ 予納金 即日面接事件 14,170円 上記以外 20,000円 A 収入印紙 600円 B 郵便切手 4,000円 (東京地方裁判所例) |
2.免責申立にかかる費用
収入印紙 300円
* 東京地方裁判所破産部 即日面接係について *
東京地方裁判所破産部では、個人の自己破産申立に限り、平成11年4月から即時手続の実現を図るべく、即日面接係を実施しています。
下記の条件に該当すれば、対象事件となり、申立当日に面接を実施し、問題がないと認められれば当日に破産宣告が下りることになります(但し、統計上当日に下りることが多いが、申立時間及び手続や審理等の時間により、当日に下りないこともあるので、注意して下さい。)。
尚、即日破産宣告が下りた事件については、その日に免責審尋期日を決定することになるので、破産申立当日に免責申立の準備をしておく必要があります。
<対象要件> @ 弁護士が代理人となる個人自己破産申立であること A 申立人債務者が不動産を有していないこと B 申立予納金を申立当日に納めること |
このように、即日面接に該当する場合には、免責申立に至る期間が短縮され、債務者は早期再起を図ることができることになります。
詳細は、http://www.toben.or.jp/whatnew/mensetu.htmlに掲載されています。
□ ■ 自 己 破 産 手 続 ( 同 時 廃 止 型 ) ■ □ | ||||||
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全国地方裁判所一覧表 | ||||||
地方裁判所 | 破産申立 | 免責申立 | 破産申立から免責まで期間 | 備考 | ||
予納金 | 収入印紙 | 郵券 | 収入印紙 | |||
東京 | 即日面接事件 14,170円 上記以外 20,000円 |
全国一律600円 | 4,000円 | 全国一律300円 | 4か月以上。即日面接係の場合、早くて3か月 | 即日面接係*あり*東京弁護士会のホームページに東京地方裁判所破産部の案内があります。 |
横浜 | 20,000円 | 2,300円 | 6〜7か月以上 | |||
浦和 | 14,170円 | 3,380円+ 80円×(債権者数+5枚) | 6か月以上 | |||
千葉 | 14,170円 | 3,200円+ 80円×(債権者数×2+10枚) | 6〜7か月以上 | |||
水戸 | 14,170円 | 4,100円20名を超える場合は10名につき80円×20枚を追加 | ||||
宇都宮 | 20,000円 | 4,440円 | ||||
前橋 | 15,496円 | 6,160円+ 80円×(債権者数×3+7枚) | ||||
静岡 | 20,000円 | 3,420円+ 80円×(債権者数×2+債務者数×2+10枚) | 4〜6か月程度但し、無審尋手続あり。書類審査(不許可事由に該当しない場合に限る)により早くて1週間で破産宣告が下る。 | 破産宣告決定は、書類審査手続あり | ||
甲府 | 20,000円 | 6,650円 | 9か月以上 | |||
長野 | 15,496円 | 7,155円+ 80円×債権者数×2 | 6か月以上 | |||
新潟 | 20,000円 | 3,340円+ 80円×(債権者数×2+6枚) | 6か月以上 | |||
大阪 | 14,170円 | 5,500円 | 3〜6ヶ月 | 破産申立書と免責申立書の同時提出可 | ||
京都 | 15,496円 | 6,640円 | 6か月程度但し、無審尋手続あり。書類審査(不許可事由に該当しない場合に限る)により早くて1週間で破産宣告が下る。 | 書類審査手続あり | ||
神戸 | 20,000円 | 8,510円+ 80円×(債権者数×3+10枚) | 6か月以上 | |||
奈良 | 30,000円 | 5,500円+ 80円×(債権者数×3枚) | 6〜7か月 | |||
大津 | 14,170円 | 4,450円+ 80円×(債権者数×2+20枚) | 6か月以上 | 破産申立書と免責申立書の同時提出可 | ||
和歌山 | 30,000円 | 4,700円+ 80円×(債権者数×2+20枚*)*但し、代理人いる場合は80円×(債権者数+20枚) | 7〜8か月程度 | 同時提出不可 | ||
名古屋 | 14,170円 | 9,870円+ 80円×(債権者数+10枚) | 6か月程度 | 同時提出可 | ||
津 | 15,496円 | 5,370円+ 80円×(債権者数×2+15枚) | 1年程度 | 同時提出不可 | ||
岐阜 | 14,170円 | 7,350円+ 80円×(債権者数×2+10枚) | 6か月程度まで | 同時提出可 | ||
福井 | 14,170円 | 4,510円+ 80円×(債権者数×2+10枚) | 6〜8か月程度 | 同時提出可 | ||
金沢 | 30,000円 | 5,100円+ 80円×(債権者数+1枚) | 同時提出可 | |||
富山 | 20,000円 | 11,220円(債権者数10名まで)10名を超え、30名までは80円×70枚を追加 30名を超え、50名までは80円×140枚を追加 | 6か月程度 | 同時提出不可 | ||
広島 | 14,170円 | 3,370円+ 80円×(債権者数+10枚) | 6か月以上 | 同時提出不可 | ||
山口 | 14,170円 | 2,760円+ 80円×(債権者数×2+10枚) | 6か月程度 | 同時提出不可 | ||
岡山 | 14,170円 | 4,660円+ 80円×(債権者数×2+20枚) | 8か月程度 | 同時提出不可 | ||
鳥取 | 14,170円 | 3,370円+ 80円×(債権者数×2+10枚) | 6〜8か月以上 | 同時提出不可 | ||
松江 | 15,496円 | 2,570円+ 80円×(債権者数×2+15枚*) *但し、代理人いる場合は80円×(債権者数+15枚) | 6か月程度 | 同時提出可 | ||
福岡 | 20,000円 | 8,550円(債権者数25名まで)25名を超えた場合、10名につき、80円×20枚を追加 | 6か月程度 | 同時提出可 | ||
佐賀 | 20,000円但し、代理人いる場合は、15,496円 | 4,350円+ 80円×(債権者数×2+15枚) | 同時提出不可 | |||
長崎 | 15,496円または、14,170円 | 4,220円+ 80円×(債権者数×3枚) | 5か月以上 | 同時提出可 | ||
大分 | 14,170円 | 2,120円+ 80円×(債権者数×2+保証人×2+10枚) | 7〜8か月程度 | 同時提出不可 | ||
熊本 | 14,170円 | 80円×(債権者数×2枚+15枚) | 6か月以上 | 同時提出可 | ||
鹿児島 | 14,170円 | 3,220円+ 80円×(債権者数×2枚+10枚) | 7〜8か月程度以上 | 同時提出可 | ||
宮崎 | 15,496円 | 4,160円*+ 80円×(債権者数×2枚+10枚) *但し、代理人いる場合は2,080円 | 7〜8か月程度以上 | 同時提出不可 | ||
那覇 | 14,170円 | 2,000円+ 80円×(債権者数+20枚) | 6か月〜1年程度 | 同時提出可 | ||
仙台 | 15,496円 | 4,080円+ 80円×(債権者数+10枚) | 書類審査手続あり免責は、集団審問尋問あり | |||
福島 | 15,496円 | 3,980円*1+ 80円×(債権者数×2+10枚*2) *1:但し、代理人いる場合は2,940円 *2:本籍地が福島市以外の場合、2枚追加 | 6か月程度 | 同時提出不可 | ||
山形 | 14,170円 | 3,630円+ 80円×(債権者数×3+保証人×3+10枚) | 6か月以上 | 同時提出不可 | ||
盛岡 | 15,496円 | 5,030円+ 80円×(債権者数×3+4枚) | 同時提出不可 | |||
秋田 | 15,496円 | 5,320円+ 80円×(債権者数×3+9枚) | 6か月程度 | 同時提出不可 | ||
青森 | 15,496円または、14,170円(官報掲載料金により異なる。) | 4,410円+ 80円×(債権者数×2+5枚) | 6か月程度まで | 同時提出不可 | ||
札幌 | 14,170円 | 80円×(債権者数×3枚*) *但し、代理人いる場合は1枚 | 6か月〜1年程度 | 書類審査手続あり同時提出不可 | ||
函館 | 14,170円 | 80円×(債権者数×2+15枚) | 5〜6か月程度 | 書類審査手続あり同時提出可 | ||
旭川 | 14,170円 | 80円×(債権者数+10枚) | 6か月〜1年程度 | 同時提出不可 | ||
釧路 | 14,170円 | 80円×(債権者数+9枚) | 5〜6か月程度 | 同時提出不可 | ||
高松 | 15,496円 | 3,340円**但し、高松市以在住以外の方は80円×(債権者数×2+15枚)追加 | 6〜8か月程度 | 同時提出不可 | ||
徳島 | 15,496円 | 4,200円+ 80円×(債権者数×2+10枚) | 7〜8か月程度 | 同時提出不可 | ||
高知 | 15,496円 | 5,200円+ 80円×(債権者数×4+20枚) | 10か月〜1年程度 | 同時提出不可 | ||
松山 | 20,000円 | 3,830円+ 80円×(債権者数×3+10枚) | 1年程度まで | 同時提出不可 | ||
個人少額管財手続とは
東京地方裁判所において、個人の自己破産申立事件について、手続の簡素化と迅速化を図ることにより、管財事件にかかる時間と費用に関する問題を少しでも解消しようとする運用です。
対象は
自己破産申立事件で、管財人を付する必要のある事件です。負債総額の多寡、不動産所有の有無は問いません。ただし、代理人申立事件に限ります。
費用は
手続費用は20万円です。なお、印紙900円(600円+300円)、郵券4,000円(400円×5枚、80円×25枚)、裁判所予納金(官報広告費用1万6,413円)を裁判所に別途納付します。 裁判所予納金は、申立(受付)時に納付する必要はなく、予納を待たずに直ちに面接ができます。また、銀行振込を利用して納付することもできます。なお、納付後保管金受領書を破産部に提出する必要はありません。
期間は
原則として2か月後に指定する債権者集会で終結する予定です。
※詳しくは、資料:個人少額管財手続の進行要領(東京地方裁判所民事第20部)をご覧ください。
これまで資金繰りに奔走したが、万策尽きかねて、とうとう不渡りを出さざるを得ない深刻な経営状態に至った場合、その原因を的確に判断し、会社が果たして今後営業を継続していける状況にあるか否か速やかに判断することが重要です。
再建の道を選択できるだけの条件が揃っていれば、民事更正、任意整理の方法等を選択することが出来ますが、やむを得ず、破産という清算方法を選択したならば、会計関係資料を始め、将来財団を構成するであろう財産を円滑に破産管財人に引き継げるかを目標に会社内外の諸問題に立ち向かわなければなりません。
1.破産申立
取締役会の決議を経て、債務者である法人が自ら破産申立を行います。何らかの事情で一部の役員と連絡が取れない場合、一部の取締役その他の役員だけで申立てることも可能です。
<管轄>
法人の主たる営業所の所在地(通常、登記簿謄本上の本店所在地。但し、主たる営業所と判断される場合もある。)を管轄する地方裁判所が管轄裁判所になります。
<必要書類>
@ 資格証明書
A 取締役会議事録
B 債権者一覧表
C 売掛先・売掛金一覧表
D 資産一覧表
E 貸借対照表
F 申立時点までの確定申告書・損益
G その他
2.破産宣告決定
会社は、破産によって解散したことになり、清算手続は破産手続によりなされ、法人格は清算の範囲内において存続することになります。
<各種処分>
@ 同時処分
a. 破産管財人の選任
b. 債権届出期間の決定
c. 第一回債権者集会期日の指定
d. 債権調査期日の指定
A 付随処分
a. 公告
b. 送達
c. 登記・登録の嘱託・・・法人破産登記・破産者に関する登記の嘱託・破産財団に属する権利の登記の嘱託
d. 主務官庁への通知
e. 検察庁への通知
f. 本籍役場への通知
<効果>
@ 説明義務
A 居住制限
B 引致・監守
C 通信の秘密の制限
D 財産上は、破産者は破産宣告時の全財産についての管理処分権を失い、この権限は管財人に属することとなります。
3.債権届出
4.債権表の作成
5.債権調査
6.第一回債権者集会
7.配当
破産管財人が、破産財団に属する財産を換価して得た金銭を、破産債権者に対して、その順位及び債権額に応じて分配する手続のことを配当といいます。配当には、実施される時期により、中間配当、最後配当、追加配当があります。
8.破産終結決定
破産管財人の申立により債権者集会が開かれ、配当完了など任務終了のための計算報告が承認され、債権者集会が終結すれば、裁判所により破産終結決定がなされます。
他に、破産手続の終了原因としては、@強制和議の成立、A破産廃止決定、B破産取消決定、C他の手続の開始、などがあります。
法人少額管財手続とは
東京地方裁判所において、法人及びその代表者の自己破産申立事件について、できる限り手続の簡素化と迅速化を図ることにより、管財事件にかかる時間と費用に関する負担を少しでも軽減し、より適正な運用を図ろうとする手続です。なお、原則として法人の同時廃止は行いません。
対象は
法人及び代表者(その親族も含む。)の自己破産申立事件で、ほとんど資産がないか、若干の換価業務が予想される事件です。ただし、代理人申立事件に限ります。
費用は
手続費用は、法人と個人を会わせて20万円です。なお、法人申立については、印紙(600円)、郵券4,000円(40円×5枚、80円×25枚)、裁判所予納金(官報公告費用1万3,457円)は裁判所に別途納付してください。(代表者等については印紙900円、郵券4,000円、裁判所予納金1万6,413円を裁判所に別途納付することになります。) 裁判所予納金については、申立(受付)時に納付する必要はなく、予納を待たずに直ちに面接できます。また、銀行振込を利用することもできます。なお、納付後、保管金受領証書を破産部に提出する必要はありません。
期間は
原則として3か月後に指定する債権者集会までに換価を終えて事件を終局する予定です。
※詳しくは、資料:法人少額管財手続の進行要領(東京地方裁判所民事第20部)をご覧ください。
破産原因(個人破産の場合、支払不能)があっても、債務者の財産が少なくて破産手続に費用すら出ないことが分かった場合には、破産宣告と同時に以降の破産手続を進めない取り扱いとして破産手続を廃止する決定を行います。実質的には、破産者の免責の当否を決定するための手続となっています。
これに対し、破産者の財産を債権者に平等に分配するための破産手続を破産管財人選任型といいます。
尚、同時廃止にするか否かは、資産があるか否かが一応の基準となっています。(東京地方裁判所の場合、50万円以上の資産があるか否かが基準のようです。)
@ 生命保険や退職金がある場合
生命保険の場合、解約返戻金が50万円以上あるか。
退職金の場合、破産宣告時に退職した場合に受け取ることが出来る金額の4分の1が50万円を越えているか否か。ただし、50万円を超えていても、相当額を任意に配当させ、あえて管財人を選任しないというような取り扱いをする裁判所もある。
A 不動産を所有する場合
原則として50万円以上の資産ありとして、管財人を選任するのが原則的な取り扱いである。(ただし、東京地方裁判所の場合、担保割れになっていることが客観的な資料で疎明された場合には、同時廃止にする場合もある。)
B 会社代表の個人破産の場合
会社代表の場合、相当の資産を会社につぎ込んでいる場合が多いので、会社に資産がないこと(会社からの取立てが困難であること)を調査する必要があるため、原則として管財人をつけるのが一般的である。
<破産事件の手続とその費用>
予納金基準額(H13.2.1現在)
同時廃止事件
即日面接事件 | 14,170円 |
上記以外 | 20,000円 |
少額管財事件
法人少額管財事件 | 20万円 及び 法人1件につき13,457円 |
個人1名につき16,413円 | |
個人少額管財事件 | 20万円 及び 個人1名につき16,413円 |
破産管財人選任事件
(少額管財事件を除く) | 下表のとおり |
東京地方裁判所破産部予納金基準表 | |||
---|---|---|---|
負債総額(円) | 破産管財人選任事件 (少額管財事件を除く) |
民事再生申立 | |
法人 | 自然人 | 法人及び自然人 | |
5,000万未満 | 70万円 | 50万円 | 200万円 |
5,000万〜1億未満 | 100万円 | 80万円 | 300万円 |
1憶〜5憶未満 | 200万円 | 150万円 | 500万円 |
5憶〜10憶未満 | 300万円 | 250万円 | |
10憶〜50憶未満 | 400万円 | 600万円 | |
50憶〜100憶未満 | 500万円 | 700万円〜800万円 | |
100憶〜250憶未満 | 700万円 | 900万円〜1,000万円 | |
250憶〜500憶未満 | 800万円 | 1,000万円〜1,100万円 | |
500憶〜1,000憶未満 | 1,000万円 | 1,200万円〜1,300万円 | |
1,000憶以上 | 1,000万円以上 | 1,300万円 | |
予納郵券組合せ | |||||
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破産管財人選任事件 (少額管財事件を除く) |
同時廃止事件・少額管財事件 | 民事再生申立事件 | |||
500円 | 2枚 | 400円 | 5枚 | 1,000円 | 2枚 |
430円 | 15枚 | 80円 | 25枚 | 430円 | 20枚 |
400円 | 10枚 | 80円 | 20枚 | ||
80円 | 30枚 | 10円 | 20枚 | ||
合 計 | 14,100円 | 合 計 | 4,000円 | 合 計 | 12,400円 |
収入印紙 | |
---|---|
個人自己破産申立及び免責申立 | 900円(内訳:破産申立600円、免責申立300円) |
法人自己破産申立 | 600円 |
債権者破産申立 | 10,000円 |
民事再生事件 | 10,000円 |
予納金の納付方法
平成13年2月1日より、これまでの納付方法の他、銀行振込の利用が可能となりました。
東京地方裁判所民事第20部
<破産管財人選任型の手続の流れ>
1.破産宣告・破産管財人選任
破産を申立てた後、同時廃止決定がなされない場合、破産宣告と同時に破産管財人が選任されます。破産者は、破産宣告によって、宣告時において有していた財産の管理処分権を失い、各種の制限を受けることになります。(東京地方裁判所では、宣告時に「破産者に対する注意事項」という書類を渡している。)
2.第一回債権者集会、債権届出期間及び債権調査期日の決定
破産管財人は、破産債権の調査・確定をし、破産債権者は、一定期間内に裁判所に対して債権届出をします。破産管財人は、届出債権について事前調査を行い、債権調査期日までに届出債権認否表を作成を裁判所に提出します。債権調査期日において認否を行い、破産管財人及び他の債権者から異議が述べられなければ、その債権は確定します。
3.破産財団の換価・破産債権の確定・配当
破産財団が換価され破産債権が確定すると、管財人はその両方の結果を突き合わせ配当を行います。
4.破産終結決定
配当が完了すると管財人の計算報告のための債権者集会が行われ、裁判所は、破産終結決定をします。
尚、破産宣告後、破産財団で手続費用も賄えないことが判明した場合には、破産廃止が行われます。
5.免責の申立
管財人型の場合は、破産手続終了までに免責の申立ができます。
6.債権者の異議
免責不許可事由の有無については、裁判所の審理に資するため、管財人が調査報告書を提出します。破産者としては、その調査報告書の写しを管財人から入手し、不利な内容については意見書等の形式で反論書を裁判所に提出することが出来ます。
7.免責決定
一部配当がなされた場合には、その残額、配当されなかった場合には、その全部について支払義務が免責されることになります。
さらに、免責決定の確定と同時に復権して破産者でなくなります。